今年(2025年)の夏の高校野球は、全国3396校が参加した中、理論的に言えば…3395試合を乗り越えた沖縄尚学高校(学校法人尚学学園、中高一貫校)はおそらく11試合負けることなく勝ち進み、全国制覇を成し遂げた。 かつての野球小僧(私のことである)の感想としては、金属バットを低反発にしたことの影響と思われるが、選手の体格のバリエーションが広がり、ヘッドスピードよりも芯で当てることが重要視されているように見えた。 投手は本格派でストライクで勝負するというよりも、切れの良い球で低めのボールゾーンを振らせるスタイルが増えている気がした。 その結果、徹底して低めの変化球をマークされた呼び声高い投手が、自分を見失い自滅するケースも多く見られた。 試合終了時の整列握手の光景で、体格さが著しいチーム同士の熱戦が改めて認識されるのは印象的であった。 華やかな表舞台の高校野球の舞台裏は深刻である。 日本高校野球連盟加盟校数は、2005年、4253校をピークに減少続きであり、今年の参加校は、ピーク時から20年で、20%減ということである。 今年は以前紹介した合同チーム数は、115(439校)で、これはピーク時の10%の高校はチーム編成が困難であったということである。 根本にあるのは人口減であろうが、趣味の多様化による子供の興味の分散や、そんな中で野球の底辺を支える戦略は、相変わらず表舞台の「甲子園」に頼っていることも大きいのではなかろうか。
我が家は、というか「野球小僧」一人だけかもしれないが、親の出身県、家族の現住所の県からの代表校(今年は5県の高校が該当)を応援することにしているが、今年はベスト16に4校と盛り上がりを見せたが、準々決勝で姿を消した。 テレビの放送スタイルも少しずつ変化が表れていて、攻守の入替えの時間に、校歌、応援スタンド、選手によるチーム紹介、チームの所在市町村の紹介などが流れる。 以前は、様々な校歌を聞くのが好きで、多くは似たような校歌らしい詩や曲だったり、新旧問わず有名な作詞作曲家の校歌であったり…。 今年あの大阪府から2度目の出場となったのが、東大阪大柏原である。 地元は大阪府柏原市、大阪府の南東部に位置し、有名なこてこて河内弁の地域である。 私は以前1年ほど住んだことのある市である。 所在市町村の紹介を楽しみにしていたのだが、NHKのいつもの老若男女受けする教科書っぽい構成ではなくなっていた。 私としては、史跡の多い街、ブドウ畑の多い街であったが、紹介ビデオでは「ブドウ」のことだけ? 史跡や歴史的なイベントに期待しただけにちょっとがっかりした。 ただ、県や地域単位ではなく市町村単位の焦点が当たっていて、なんとなく新鮮に思えた。 自分がある程度暮らしを営んだ市町村は、これまでにどれくらいあるか数えてみると、11市町村、7府県である。 今回その市町村から柏原も含めて4校出場していた。 11校中4校では多い気がしないが、今回で言えば、最大でも同時出場は各府県1校(都道は2校)であるため、7校中4校と考えると優秀である。 大阪府と千葉県の暮らしたことのある市町村は、高校野球としては可能性の高くない地域であるが、今後の楽しみが増えた気がする。 5校を超えることが今後あるだろうか? 今後の暮らし方によっては、その母数である市町村数、県の数が増えるかもしれない。 楽しみな指数としよう。
ベスト4の中で県立岐阜商の活躍が目を引いた。 唯一の公立高校として注目された。 「野球小僧」が子供の頃に独自につけていた対戦結果表(以前は春はトーナメント、夏は都度次の組合せ抽選)には、所在地名に「商業」が付いているおそらく公立高校が出場校の多くを占め、当然有名校も多かった。 (今では校名変更した学校もあるが)東邦商、岐阜商、松山商、広島商、高松商、静岡商、下関商など、どんどん出てくる。 以前の大会の放送時に、地域で名前の知れた商業高校への女子の進学が増え、全体生徒数の中での選手を目指す生徒比率が著しく減少し、高レベルでの野球部そのものの運営が難しくなっていると聞いたことがある。 今年の出場校の中で、校名に「商業」の文字が残るのは、県立岐阜商と宮崎商の2校であった。 それとともに最近目立つのが、大学の付属高校である。 大学名が略称校名に入っているのは7校、それ以外も含めると14校ということになる。 中高大の一貫校の方が生徒を集めやすいのか、それとも経営の安定なのか、たぶん両方であろう。 とにかく、私立の学校法人が主流で、たぶんに学校の特色を出しやすかったり、まずは校名を売ること自体が経営の方針であったり…。 同じ市内に、茨城県の甲子園の常連私立校があるが、甲子園で名を挙げ、その応援のブラスバンドも全国区となり、いまや、進学校として偏差値が上がっているようである。 注意深く見ていくと、時代の変化を感じることができる。
もう一つ気になったのが、富山県代表の未来富山である。 愛媛県松山市に本校がある通信制の未来高等学校の富山中央学習センターである。 ホームページでは「夢への最短距離」と位置づけ、世界で活躍するトップアスリートは通信制の高校を卒業しているケースが多いようで、アスリートコース、総合学習コース、介護福祉コースという三つのコースで、自分らしく学ぶことを目指しているようである。 現在は、生徒数24名中23名がアスリートコースの野球部員。 通信制のため授業はオンライン? 午前中プリントによる学習、午後は練習のようである。 生徒のほとんどは県外からであるが、センターの所在地魚津市ではこの取り組みを歓迎している紹介ビデオであった。 三つのコースのうちでアスリートコースに現状偏っていると想像したが、その他の生徒たちは通信による授業であり、未来高等学校富山中央学習センターの生徒である必要もない。 設備のそろった場所にアスリートコースの部員がいるということだろう。 ちょっと前に、プロゴルファーが千葉県の定時制高校に通っている記事を読んだことがある。 うまくなりたい! 卒業はしたい! という選択肢を増やすことができるのは素晴らしいことである。 ただでさえ、「甲子園」偏重の、100年程度しか経っていないのに“歴史のある”野球界である。 通信制もよし、外国語の校歌が流れてもよし、性別の垣根がなくてもよし、のはずである。 ファンの趣向はあるとしても、制度としては必要である。 どちらにしても、人口は減少し、子供の興味は分散するのである。
日本では後発なのであるが、私は常々サッカーの体制が素晴らしいと思っている。 その指導者はライセンス制であること、プロチームは地域に根差して収益を上げる仕組みを持とうとしていること、高校サッカーは日本では人気があるが、世界ではU 20とかU17とかでの大会となっており(野球も最近では世界はそのようになってきているようだが…)、サッカー界を統括したJFAという組織の下で、世界で戦える体制を整えようとしていること、などである。 野球も、プロ野球、社会人野球、学生野球、少年野球等、旧態依然な区分で別々の組織のところを一つの法人の下にまとめ、指導者の育成、クラブチームから学校のクラブ活動、全国大会、プロの活動まで、取り仕切っていくようにはならないだろうか。 20年後の「甲子園」は、学校、クラブチーム、地域チームを問わず、U15、U17での全国大会となる。 つくばエクスプレス延伸後の、首都機能分散で役割の増えた土浦市からは、自治体・企業・市民一丸となって育んできた地域チームが茨城県代表として「甲子園」に出場する。 その市町村紹介ビデオでは、「かつて水運で栄えた都市、今や首都圏の重要な一角を担う都市、官民連携でのユニークな取り組みで注目されている都市、全国有数の花火の都市」とした画像とナレーションが流れる。 “私が昨夜見た夢”は正夢にならないだろうか!






ノスタルジックでなく、スポーツとしての隆盛を図るための新しい、合理的な体制は必要ですね。サッカーはJリーグが始まるとき、大変チームにとっては厳しいレギュレーションが課されましたが、地域チームであり、地域貢献したうえ、商業的に成り立つことを目的とした理念がありました。野球界も、海外の成功例や、状況から、ぜひ、論理的な理念を構築したうえで、挑戦してもらいたいものですね。
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