進化の過程


 昨年8月に右脇腹の違和感から病院との関わりが始まったのである。 結果的には胆のうがんということであったわけだが、肝臓、すい臓、胆のうなどの臓器には神経が通っていないらしく、“物言わぬ臓器”と言われているとか…。 結論に行きつくまでの二人の医者ともに、そこに関するコメントはしてくれていないが、自分勝手に判断すると「脇腹の違和感と胆のうの病気とは無関係!」ということになる。 では、脇腹の違和感は何だったのか? 想定するにゴルフの練習による筋肉痛か脇腹付近を痛めたかの整形外科的要因? とすれば、非常にラッキーということになる。 “物言わぬ臓器”の異常をゴルフが教えてくれたのである。 がんの治療は進化していて治療中に昔の様な悲壮感はない。 ドラマなどでは、本人には告知しないとか、告知された患者の落ち込みとかが放映されていたが、自分のこととして体験すると、医者の診断の中でごく普通にその単語は登場した。 手術もあっという間に決まり呆気なく終わり、その後も、過剰治療にならない頻度で腫瘍マーカー血液検査を受け、CT検査、MRI検査、PET検査などの放射線検査を受け、点滴による抗がん剤治療を開始している。 
体の中に勝手に増殖し始めた細胞をやっつけるわけであるが、体の健康な部分にもダメージを与えるらしく、白血球の量とか心臓の負担とか、投与に制限が伴う治療もあるようである。 これからの進化に期待しながら、今自分にできることを受け入れながら、医者から卒業のお墨付きをいただくまで長い付き合いなのである。 

治療の節目節目で食事制限と同時に飲酒に関しては確認してきたが、これまでは幸か不幸か、特別に飲酒に関しての医者からのコメントはなかった。 殻の中での生活では、20年以上前に休肝日を試みようとしたことはいるが長続きせず、その後は、翌日バリウム付の健康診断の夜、最近では1,2回目のコロナワクチン注射の夜など禁酒であった。 点滴抗がん剤治療では説明書に禁酒の記載があり、投与の夜の禁酒を実行することにした。 2週間に一度やってくる夜である。 長続きさせるためにも、最近進化著しい「ノンアル」製品を試してみることにした。 以前のノンアルビールは、泡もサラッとしてそれほど立たず、香りや風味もビールとは似つかわしくないソフトドリンクであった。 大手ビールメーカーから種類も豊富である。 調べてみると、手にしてみると、口にしてみると、まず泡の具合や液体の色合がまさにビールである。 さすがにビールには含まれていない原材料が含まれており、各社それぞれのノウハウがあるのだろう。 最近のトレンドは、麦芽、ホップ、水、工程などビールからアルコールだけ抜いたような…。 その上、糖質ゼロ、カロリーゼロ。 いつでも、どこでも、体のことを気にせず、テイストは欲しいがアルコールは要らない人は増えているようである。 飲み比べてみると、残念ながら米国の銘柄で韓国産の、でかでかと「炭酸飲料」と書かれている「麦芽、米、ホップ/炭酸、酸化防止剤、PH調整剤、プロピレングリコール、香料」含有のノンアルビールが一番飲みやすかった気がする。 ビール以外でも、ハイボールやサワー系のテイストもあったが、甘めのドリンクはただのソフトドリンクで食事のお供には向かない。 商品が豊富にあるということはそれなりに市場はあるということだが、私のようなアルコールを体の中に入れたい人たちに、アルコール抜きでテイスト勝負している場合は、進化したとは言え、追いつき追い越すことはまずできないと思うのだが…。

子供の頃、近くの大衆食堂のような場所の玄関脇のガラス張りのメニュー棚に、埃の被ったカレーや鍋焼きうどんの模型がよく飾ってあった。 埃の被った模型でも、なぜか子供心に食べたいと思った記憶がある。 その後海外に行く機会が増えたものの、そのような模型に出会ったこともなく、店内のポスター程度、辛うじてメニューに写真が掲載されているくらいしかお目にかからない。 昭和初期日本発祥の食品サンプルである。 最近ではその精巧さは磨きがかかり、海外の観光客の体験ツアーがあるくらいである。 型取り、成形、着色、盛付けという工程は、盛付け以外は普通に工場で馴染みのある工程である。 最近では本物に似ているだけでは飽き足らず、パロディや芸術の世界に入り込んでいて、単なるコピーを超えている。 そう言えば、私の趣味のコンピュータ音楽(DTM:デスクトップミュージック)も同様かもしれない。 道具をそろえても楽しみ方がわからず、最初は同じように聞こえるようにコピーするのである。 道具をグレードアップし楽譜を買ってくると思い通りの音になるのかもしれないが、やれる範囲で聞こえたとおりに工夫しながら入力することに技能を感じ、それなりに発見もあるのである。 アナログの世界では、音楽性を損なわない程度の音程や音色やリズムの微妙なズレが、大勢の演奏の醍醐味と感動を生むのだが、デジタルでは、波形が重なり音が大きくなるだけで、大勢の演奏には聞こえない。 現時点の私に立ちはだかる壁であり、解決策はいまだ模索中で、単数多種の構成の演奏になってしまう。 
このようにデジタルの世界では、いかにアナログ的に聞こえさせるかが技術のようである。 スラー、チョーキング、ビブラート、クレッシェンド・デクレッシェンドなどのように…。 本物に近づけるための工夫そのものが新たな技術となるのである。 私もその中の大変初歩的な階段を歩く一人だが、十年前に買った製品の技術を、今も使いこなすことができない。 

最近、東京では飽き足らず横浜まで足を延ばすことが増えている。  先日のブログ、関内から横浜港の散策の時に、横浜税関資料展示室「クイーンのひろば」という“無料”の施設を発見し立ち寄ってみた。 横浜港の成り立ちから今に至るまでの貴重な展示物は、十分な興味であった。 その一角に、税関で押収した密輸品や偽造品の展示物があり、ブランド品と偽造品の本物はどっちクイズが有ったりした。 偽造品のほとんどはお隣の国から持ち込まれたものであったが、コピーを楽しむという意味では、本物に近づけたい! 本物と間違えてほしい! そんな思いはよくわかる。 そのための情熱や実際にその過程で学んできた技術は貴重であり、次の新たな技術や製品につながるのだろうと思う。 かつての日本がそうであったように、お隣の国のコピー品も見分けがつかなくなってきている。 そして、それらの技術はやがて偽品とは呼ばれず、堂々と新しいブランドとして品質も性能も評価されることになる。 恐ろしい話であるが、長い目で見ると、そうやって個人も会社も国も勢力図を変えてきたのだろう。 進化の歴史である。    
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コメント

  1. 匿名7/07/2025

    最近、ブランドではないものに興味をそそられ、ここ3年は、メジャーでない楽器を結構楽しんできたように思います。〇ーチン、ギ〇ソンも、特徴ある音で楽しいが、アマチュア演奏は、名もない楽器でも十分楽しめることに、気が付いたこの頃。でも、欲しかったんだよなー、買えない頃は(笑)・・とはいえ、有名どころがいい音なのは間違いないけどね~( ^^) _U~~

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