関西シリーズを楽しむ

 今年はWBCに始まり、ペッパーミルのヌー・大谷フィーバーと続き、関西対決の日本シリーズで終わった。 野球小僧としては、野球の話題が尽きない素晴らしい一年であった。 その間、バスケットボールやラグビーのワールドカップで目移りもしたが…。 野球は長らく巨人ファンを続けてきたが、その間フロントのやり方にはファンとしてはいつもため息が出るほどで、鞍替えを試みたことがある。 関東地方には、巨人、ヤクルト、横浜、西武、ロッテの五球団があり、東京ドームのチケットが取りにくいこともあり、ヤクルトとロッテの試合の観戦が手ごろで、この二チームが鞍替えの候補になった。 家族は応援の機会も多く、ヤクルトとロッテを応援した。 私は表向きは応援したが、脳の大部分では巨人がいつもドカッと座っていた。 ショックだったが、簡単には変わらないことが分かっただけ良しとした。 ちなみに現在は、家族はそれぞれの環境下で、巨人、ヤクルト、広島、楽天ファンとバラバラである。 広島、楽天はクライマックスシリーズに進出したが、そもそもセ・パ六チームずつしかないところ、三チームは勝ち残れる仕組みはいかがなものだろうか。 年間百四十四試合戦って、半分のチームを振り落とすだけという非効率さである。 クライマックスシリーズでも満員にすれば一試合で二億円以上の売上であると思うとビジネス的には分からなくもないが…。 今年は両リーグともに、阪神、オリックスがブッチギリの優勝で、この二チームの戦い以外の日本シリーズは見たくないと思っていたので、何かホッとした。 59年ぶりの関西シリーズである。 私が8歳の時である。 当時関西のチームは、阪神、阪急、南海、近鉄、どれも鉄道会社であったが、今は、阪神、オリックスの二チームであり、当時の確率で12分の1のところ、今回は36分の1であり、貴重な対決である。 結果は4勝3敗で阪神が日本一となった。 私の感想では…、オリンピックや国際大会で日本人同士の決勝は、なんとなく緊張感的にはホッとして、どちらが勝ってもいいという思いになるのと同じで、関東のカタキとの対戦よりは大人しいのではと思いきや、視聴率は非常に高かったようである。 球場ではあの関西独特のヤジはあったのだろうか? 私としては、最近のテレビ放映の視聴者参加のメッセージだけで、関西の感覚が十分に伝わり楽しかった。

私は、日本のフォークソングの発祥である関西の大学に進学したかったのだが、残念ながら合格できず、東京と名古屋の間の静岡で七年間も生活した。 関東圏と関西圏の中間である。 と言っても、エスカレータは左寄りに立ち、うどんは底が見えないほど濃かった。 関東圏である。 言葉はベースは関東系だが、微妙に語尾やアクセントに違いがあり、関西訛り(正確には三河訛り)も混じっている。 私はどちらにしろ九州育ちのため言葉が通じず、入学後の数ヶ月は柄にもなく無口で過ごして、心細い思いをしたことを思い出す。 そんな時に臆することなく自分の言葉を使うのが関西出身者たちである。 しかもその言葉はグサッと刺さる。 恐るべし関西人! そんな私がその後、関西で生活することになるとは思ってもみなかったが、実現するのである。 大阪しかもそのコテコテの河内地域に一年、それから数十年後、言葉を鵜呑みにできないと言われる京都に六年。 結局はあの流暢な、謙譲語混じりの、親しみのある関西弁を、自分が”無意識に”使うことはなかったが、なんとなく理解できたような気がした。 歴史的な言葉の成り立ちや繋がりは専門家に任せるところだが、私的にはその言葉の”流謙親”であるがゆえに、表面的に率直な言葉を使っても、逆に率直な思いを隠した表現であっても、相手との釣り合いが取れているような気がする。 住んでみると、関東よりも人の心に半歩入り込む付き合いと、九州弁の単語に近しいところ、私には心地よく感じた。 京都を離れて三年になるが、関西のテレビ番組が懐かしく、今でもティーバーで欠かさず見る番組がある。 読売テレビの「そこまで言って委員会NP」という番組である。 司会者とパネラーが、時流のネタに独自の視点でコメントする番組で、関東にも当然似たような番組はあるが、本音ベース(もちろん放送法の下での運営であろうが…)のコメントで面白い。

電気保安協会という団体がある。 頼んでもいないところ、突然「お客様の電気設備で漏電の可能性があります。」と連絡が来る。 電気を取り扱うのは電力会社と思っていたが、高圧線から変電所以降の低電圧(100Vか200V)で家庭や工場に運ばれる電気のメンテナンス(調査・保安・普及)を行っている一般財団法人で、全国に10協会がある。 我々には電力会社よりも身近なはずであるが、工場勤務以前は当然知らなかった。 老朽化した工場では、非常に頼りになった協会であった。 関西に六年間住んだ後、仕事を終えて関東に戻ったわけだが、電気保安協会のテレビコマーシャルの違いに驚いてしまった。 コマーシャル自体は、電気の調査・保安・普及であることには変わりはないのだが、コマーシャル最後の音楽が…、どちらも「かんとうでんきほあんきょうかい~♪」「かんさいでんきほあんきょうかい~♪」と協会名の入ったテーマ曲が流れるのだが…。 両方のテーマ曲を聞く機会を持つ人は少ないと仮定して、私的にはブログ作成のルール違反(自分の制作物ではない)だが、このブログが勝手な解釈で”協会の普及活動に貢献”していると見なすことにした。 関東らしい誰にも安心で心地よい、関西らしい賑やかでユニークな、テーマ曲である。 今回の話題にふさわしい比較と思って掲載した。 関西赴任後は、私は「かんさいでんきほあんきょうかい~♪」の方が好きである。

どうしても型にはめて表現したくなってしまう。 「人それぞれである」と言ってしまえば、話が先に進まないが、逆が成り立たないことも事実である。 賑やかでユニークな「かんとう♪」、誰にも安心で心地よい「かんさい♪」では何かが違い、また物足りない。 家庭での生活環境や地域での好みや雰囲気など、その地で形作られた人たちの集合体があり、地域の特性としてステレオタイプ的に一括りにした方が、安心感があったり、話題が作り易かったりすることも事実である。 要は人を傷つけない活用の仕方であれば一括りにするのも、わかり易く楽しいのである。 赤色に染まった水に青の絵の具を溶かすと紫になる。 赤色地域で育った青は紫に見えるが、透明地域での生活では青が際立つ。 お互いの色を理解するまでは戸惑いながら慣れていくのだ。 関西シリーズの視聴者は、「ちかもと~~、京都までもってこい~~」「そりゃあ、ファールやで~~」。 甲子園球場は南向きである。 北東に位置する京都に打つと…ファールである。 そのとおりだ! ”流謙親”な関西弁! 慣れてくると恋しくなる。 最後に書かなくても良いことを書いてしまうが、岡田監督(65歳)の勝利監督インタビュー、67歳の私よりも老けて見えると思うのは、私だけだろうか?


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