五十歩百歩

 思いがけず福島県いわき市までの旅行である。 いわき市と言えば、私の記憶では日本で一番面積の広い市だったことと(最近では平成の大合併以来更新著しい)、日本で最初辺りのひらがなの都市であること(これも最近では多く見かける)くらいである。 学生時代、私は九州出身であったが、栃木県出身と福島県出身の友人がいて、「そうなんだよ」を方言で言うと、栃木は「そうだんべ」と言い、福島は「そうだべ」と言うとか…。 どっちが汚い言葉に聞こえるかという議論になった。 五十歩百歩だと思った。 最近では栃木と茨城が同じような論争になっているが…。 今回、いわき市をテーマに記事を書くにあたり、福島は自分の出身地を「亜関東」(熱帯に近いところを亜熱帯と呼ぶように)と言っていたことを思い出し、記事のラベル(題材)は迷った末に、「エピソード」ではなく”亜”「茨城県のこと」とした。

いわきの面積の広さは、昭和の市町村合併(昭和60年代後半)で地方にも人口百万都市実現を目指すという国の指針によるもの。 当時の合併で百万都市になったのはおそらく北九州市だけで、子供心にせっかく覚えていた六大都市が突然七大都市になり承服できなかった。 いわきは周辺の十四市町村が合併してできたようだが、中核の五市を見てみると、白河の関と並んで常磐道の勿来の関で有名な勿来市、湯本温泉の常磐市、炭鉱の内郷市、小名浜港の磐城市、いわき駅のある中心部の平市である。 市の中心部は旧平市街でありながら、名称はひらがなの「いわき市」であること、合併特有の生みの苦しみがあったようである。 市それぞれの特徴は今も残り、掴みどころがないとも言えるがバライエティに富んでいるとも言える。 人口33万人、福島県第一の都市である。 駅付近はイメージしていた33万都市の混雑はなく、ゆったりしておりそれも合併の影響だろう。 私が注目したのは、やはり私のふるさと同様に炭鉱の町であったところであるが、その前に例によってちょっと脱線する。 四月に入ったばかりのタイミングで、計画した時はこの地域の桜の開花時期からはちょっと早いタイミングだったのだが、運よく今年の開花は前倒しになっていて、満開の時期。 広~い市の外にある、あの有名な「三春の滝桜」。 足を延ばすだけでも高速道路を一時間。 ただ千年を超えると言われる枝垂れ桜は満開! 平日とは言え駐車場はいっぱい、他県(福島県からして…私もそうだが)ナンバーの車も多い。 入場料300円。 ただ、ただただ美しい! ゆっくり観賞した後の、三春のJR駅前付近はそれなりに観光整備されていて情緒があり、「ほうろく焼き」という厚~い油揚げに味噌とネギを挟んだ名物を食し満足!

いわきに戻る。 いわきと炭鉱の関係をネットで見ていくうちに、「フラガール」という映画が目についた。 題名からして男性諸氏は心揺さぶられるものがあると思うが、私はひねくれているので、この映画には触れることはなかった。 いわきと炭鉱を知る近道と思い、ネットで提供される画像サービスで初鑑賞! 冒頭早々に、ズリ山(九州ではボタ山)を登る主人公、閉山真近の炭鉱の労使のやり取りなど、子供の頃聞き及んできた炭鉱運営会社の内部が…胸が熱い! 途中にも出てくる従業員の住宅のシーンも、子供の頃に知り合いの住宅に遊びに行った光景そのものであった。 なにも感動のシーンではないのにすでに泣ける! 最近は目の容量も老朽化したのかすぐに我慢域を超える! この映画の中の話だったかネットの記事だったか不明になってしまったが、常磐炭鉱では坑道そのもので熱いお湯が噴出し悩まされたそうで、そのお湯(温泉)を利用してこの映画の本題の、「常磐ハワイアンセンター」のちの「スパリゾートハワイアンズ」の温水プールがあるということらしい。 湯本温泉自体が1600年の歴史があり日本三大古泉に選ばれるほどなので、その温泉が坑道に噴き出したということか。 映画では、私の疑問のなぜハワイか…わからなかったが、市の説明文では太平洋に面して温暖な気候? そこから150km南の”東京の方”でも十分寒いのだが…。 この謎はそっとしておく。

炭鉱跡は市の南部、内郷、常磐、勿来地区から茨城県北部に集中していた。 石炭のでき方については、数千年~数億年前の話になるようなので大昔としておくが、植物の生育や堆積が進み、地殻変動で地底に沈み、加圧・加熱されてできるらしい。 その加圧・加熱具合から良質度が決まるとのこと。 以前、ふるさとの炭鉱の閉山時に、石炭はまだあるが質が悪くなり、また島から遠く深くなり、コストが合わないと聞いたことがある。 今にして思えば、今ほど環境問題はなかったかもしれないが、オイル・天然ガスに押されて採算があわなくなったのだろうことは想像がつく。 坑道、採掘、選炭、立坑、送風、貯炭、積込、ズリ(選炭後の不要な岩石)など、炭坑特有の用語があり、ふるさとでは立坑跡直下の海岸線を当時「タテコ」(子供の頃は意味も分からず使っていた)という地名で呼んでいた。 ふるさとでは炭鉱跡は未だに当時の会社管轄下にあり見ることは殆どないが、いわきでは炭坑遺構めぐりの紹介があり、見てみたい衝動に駆られた。 確かに見ることはできたが、一般住宅の脇にあったりで、気をつけて見ないと見落としてしまう程度、時間を取ってハイキングのように自分の足で歩きながらの見学だったら…。 積込場の跡を道路沿いに見かけ、車を止め写真を撮った。 少しがっかりだが目の奥の方に焼き付いた。 

いわき駅付近で活動したが、至るところに「ハワイ」をイメージさせる音楽や飾りが施されており、「スパリゾートハワイアンズ」恐るべしである。 子供が小さいときは一度行ってみようと計画したことはあるが、実現せずじまいで今や巣立ってしまったので計画してもだれもこの指には止まらないだろう。 以前、会社の忘年会で小名浜の旅館に、ゴルフのプレイフィが高額だった頃湯本のゴルフ場に、来たことはあるが、今のところ再訪問する予定はない。 炭鉱跡は、土壌が悪く、大量の人達の移動が起き、産業の依存度によっては、私のふるさとのように再生の道は遠い所もある。 いわき市のように、温泉、漁港、交通の要所、工場用地など取り戻しつつある活気をしみじみとうれしく思う。 3.11の影響はどうだったのだろう、そしてこれから先も…。 茨城県では「そうなんだよ」は「そうだっぺ」という。 彼らの県ほどは汚くはないと思うし、ちょっと可愛らしくもあると感じるのは、私も茨城県民が板についてきたということだろうか?!



コメント

  1. 匿名5/03/2023

    だいじですか?? これ、大切ですかっていう問いかけではなく、大丈夫ですかの変形です。食べ物や、飲み物の追加の必要性の有無を尋ねるときによく使われます。イントネーションはしり上がりに発音します。尋ねられたほうは、たいてい だいじですよ~ って答えていましたね。
    また、ある地域ては、「いかまい!」って言って出かけます。 初めて聞いたときは、「なんじゃい、いかないのかい」って思ったものでした。 さてこの二つの地域はどこと、どこでしょうか !(^^)!
     

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