約束!

 参議院選挙2022が終了した。 イデオロギーの話や私のひいき政党の話をするつもりはないが、選挙のたびに忘れられない映像がある。 それは2012年11月である。 当時民主党の野田首相が、当時自民党安倍総裁に議員定数削減法案を可決させるための協力と引き換えに、衆議院を解散するという党首討論のような国会でのやり取りである。 当時の民主党政権は離党者が続出し支持率が下落していたため、解散総選挙イコール与党からの転落を意味しており、好意的に言えば迫力満点、冷めた目では「ちょっと青臭い」やり取りであった。 当時は消費税増税をやるのであれば、身を切る覚悟が必要という流れで、あの有名な事業仕分け、スーパーコンピュータの予算「世界2位ではダメなんですか」などとともに、国会議員数削減が大きなテーマになっていた。 結局、衆議院解散し民主党政権は終わった。 あれから10年になるが…。 最近では「6増6減」とか…。 いつの間にか、議員定数削減は、一票の格差の憲法違反解消に名前を変えてしまったようで、いまだ実行されず! ただ、約束は約束である!

実際問題として…。 日本の国会は衆議院465人、参議院248人という議員定数(合計713人)。 数年前の数字であるが、議員の年間経費総額は約834億円。 一人当たり1.17億円ということになる。 日本の年間歳出総額300兆円とすると微々たるもののようだ。 賛否が分かれるところで…。 民主主義というのは本当に厄介な仕組みらしい。 採決は多数決!と言う割には少数派の意見を大事にする。 誰もに開かれた議員への門とすると議員定数削減は開かれた門を閉じる方向であるし、固定票を持っている政党にますます有利になってしまう。(考えてみると、二大政党制・小選挙区・比例代表など矛盾は多い) 議員一人あたりの仕事が増えることになる。 また、ただでさえお金のかかる選挙は狭き門になるとますますお金がかかる恐れがある。 少なくとも国会議員は今よりも魅力が薄れる。 定員割れになると無投票で当選ということになるのか? 民主主義を守るために何かおかしなことになる。 ただ、約束は約束である!

企業では、徐々にコンプライアンスとかガバナンスとか、日本語に訳しにくい領域に気を配る必要が出てきて、私もその波に飲み込まれていくのだが、改めて三権分立の意味を理解させられることが多くなる。 法律を読み、解釈し、行政やコンサルタントと話をするなど…。 法律を作る側(立法)、使う側(行政)、守る側(司法)、それぞれ法律を運用する人々である。 その法律の運用そのものが国の方向性や国民生活を作っていく。 司法・行政は国家試験(または公務員試験)、立法だけは国家試験ではなく選挙であり、法律の知識がなくても当選することはできる。 ただし、その要件は大変複雑なものになる。 幅広い知識を持った専門的な人、人に好かれる意見が鋭い人、庶民のようなお金持ち、みんなに公平っぽく自分の支持者をひいきする人、熟考するが速攻な人。 こんな人いるのか?

仕事として「貨物自動車運送事業法」に関わったことがある。 貨物自動車運送事業を行っても良いという”業許可”を国からいただいて運営する事業である。 国会レベルの法令、「貨物自動車運送事業施行規則」という省令から成り、それら法令、省令に書かれていることを社内の規則に置き換えて運営することになる。 運行管理規定とか整備管理規定というものである。 運行管理規定の主な流れは、会社の方針→会社の体制→安全管理→維持管理→内部監査。 登場人物は、経営、安全統括責任者(実務経験)、運行管理者(国家試験、実務経験及び定期講習)、整備管理者(実務経験及び定期講習)、運転手(運転免許及び適性診断)である。 各県にある国の出先機関が数年に一度立入検査に訪れ、法令vs運行管理規程、運行管理規程vs実際の運用を調査し、是正処置要求を発行する。 事業者側は是正状況を報告する。 驚いたのは、社内の規則は小冊子に製本された印刷物になっており自社で作る必要はない。 貨物と旅客では内容が違うかもしれないが、登場人物がほぼ同一で、規制自体もほぼ同一と想像する。 安全管理と維持管理の記載内容の大半を占めるのが、運行管理者の権限や活動に関わることで、施設や機材、運転手の健康、運転適正判断、運行指示、緊急時対応などなど多岐にわたる。

知床遊覧船事故のニュースを見ていると、こんな陸上での経験からすると腑に落ちないことが多い。 海上でも、同じように海上運送法という法令と海上運送法施行規則という省令の下での”業許可”を国からいただき事業を運営する。 法令、省令だけでの比較だが、運航(海上ではすべて「運行」が「運航」になっている)管理規定(たぶん出先機関からひな形が支給?)は存在するが、整備管理についての記載なし(たぶん、船長とか機関士の資格に含まれる?)。 不思議に思ったのは、運航管理者の権限と活動範囲。 陸上では運行管理者に管理側と現場側のほとんど活動が一任されているが、海上では管理側のみで、現場側は船長の守備範囲に見えてしまう。 そんなこともあるのか、運航管理者には国家試験はなく「実務経験またはそれ相当の能力」のようである。 監査や立入検査の仕組みはあまり相違なしと想像する。 

島育ちの私は子供の頃から海に親しんできた。 そう言えば、私が子供の頃は、船はすでに重要な輸送手段だが、車は主力な輸送手段ではなかった。 海上輸送は、遣隋使以前から数千年?の歴史があるだろう。 子供の頃、台風で海が荒れると肉、牛乳、卵などの食材が島から消え、通過後数日分の新聞や雑誌が届いたものである(テレビなし、ラジオあり、ネットは当然なし、固定電話は一般家庭なしという環境、今の若者は想像できないだろう!)。  海の怖さも身近に知っていて、自分でも数回溺れてもうダメかも…と思ったことはあるし、舟釣りでは日陰なしで海水のついた体の水分不足は深刻…。 波・潮の流れ…。 今でも船に乗ると潮や風の流れや自分の力で陸まで戻れるかなどいつも考えてしまう。(私は今回の事故のような水温の怖さの経験がないが)海の怖さは知っているつもりで、今回の事故は胸が締め付けられる思いである。

法律を運用する人々も、できないことを規制しても事業を運営する人が居なくなるだろうし、別の意味で住民の生活や余暇を圧迫するだろうし、歴史があるものほど、ドラスティックには変えられないという一面があるのかもしれない。 立入検査も受けていて感じていたのは、事業停止など経営に関わる措置までは行わない雰囲気があった。 そんな状況では、どうしても起きた被害に対して改めるという「後追い」の改正になってしまうのだろう。 選挙で選ばれるべきは、必ずしも法律のプロである必要はないと思うが、この国またはこの国で暮らす人に必要なものは何で、変えるべきものは何であるかを考え、判断でき、主張し、行動に移せる人であり、団体でなければならないのだろう。 選挙での私の一票は、すなわち私との約束である。 やろうとしてもできないことも多い。 ただ、やろうとした証しは見たいものである。 ただただ、約束は約束である!



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コメント

  1. 匿名7/25/2022

    法律は立法後、適用の段階で、種々矛盾点が生じることがある。でも、正規分布の両端は無視しましょうの精神で運用され続けるんだろうね。 車の車検ー自分で陸運局に行ったことがあるが、有効かなと思える検査は、油漏れチエックと、排ガス濃度測定、ブレーキの効き目テストくらいかな。 こんなこと2年に一回やってて、事故防止に貢献してるっていうのは、こじつけじゃないのかな? 昔の24か月点検は、ブレーキなど分解してチエックしたものだが、自動車の性能が良くなったからとの理由で最近は、外見、油漏れだけって、日常点検と同じことになっている。でもそれすら手抜きでやったかどうかってトヨタで発生してたね。しっかり24000円くらいとってるのにね。車検の印紙代、免許更新の印紙代、市役所の住民票発行手数料、みーんな税金で運営している組織なのに、なんで金いるの?経費節減なら、ゾロっといる人たちなくして、自動発行や、セルフ検査にしてくれよー。事務所のエアコンも照明も要らないよー。天下ってくる人の給料も要らないのになー・・。これ、こっかいで審議してくれない?あ、ガソリンの揮発油税に消費税かけてるのも議論してねー

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