ホッコリした気分

 子供の頃、大変可愛がってもらった叔母がいた。 その叔母の嫁ぎ先が佐賀県有田町で、小学生の頃何度か訪れていた。 有田と言えば我が国最初の磁器の産地。 確かその嫁ぎ先も磁器関連の仕事をされていたような記憶がある。  そんなわけだからか、一般的な家庭もそうなのか私には他の経験がなく語れないが、食器と言えば磁器の記憶しかない。 正しく表現すると、食器の上に乗っていた食べ物には興味があるが、食器の興味は殆どなかった。 食器に興味を持ち出したのは、(何歳からとは言わないが…)お酒を飲みだしてからである。  ただ、今でも食器は、地が白く華やかな柄の、薄くて軽い磁器がいいと思っている。 

茨城県には笠間焼と言われる焼きものの産地があり、関東では一番古い焼きものの里らしい。 残念ながら陶器らしいのだが…。 そもそも磁器と陶器は何が違うのか、疑問が湧いてくる。 専門の皆さんには失礼な言い方かも知れないが、意外に分かりやすい。 磁器と陶器を合わせて陶磁器と呼ばれるようだが、その土(材料)、焼く温度、上薬の活かし方によって、「土器」、「せっ器」、「陶器」、「磁器」に分けられる。 縄文時代からある埴輪は今でもレンガ色の植木鉢として受け継がれている「土器」と言われ、粘土を低温素焼き(上薬なし)にしたもの。 もろく水分を通しやすい。 陶土と呼ばれる粘土を、上薬なしのまま高温で焼き上げたものは「せっ器」と呼ばれ、水分を通さない。 同じ陶土を低温素焼きの後、上薬を塗って高温で焼き上げるのが陶器。 水分を通し、色目や匂いがつく欠点があるが、趣がある仕上がりになる。 磁器は、陶石と言われる白色粘土を、上薬を塗って高温で焼き上げる。 薄くて丈夫で水分を通さず、色、匂いも付かない万能食器であるが、熱伝導率が高く、熱くて持てない、飲めないことがある。 そう言えば、陶器は酒やお茶などの器、特に熱い飲み物用が多いようだ。 私が訪れたときは4月中旬だったが、今年はコロナ後初の陶器市「笠間の陶炎祭」(“ひまつり”と読む)が429日~55日で開催されるようだ。 訪れた時は平日でもあり、駐車場無料でひっそりとしていたが、期間中は盛り上がり、駐車場も有料に変わるようである。  ちなみに趣味としては何でも挑戦したくなる私だが、図画工作系は超下手で、始めたい気持ちにはならない。 ただ、美味しく飲食するための道具としては興味がある。 今年は賑やかな「陶炎祭」になることを期待して…。

もう一つ笠間が日本に誇れるもの、笠間稲荷神社がある。 稲荷神社は全国にあり、狛犬の代わりにキツネが守っているのだが、明確な理由はわからないようだ。 もともと農業の神様で、「稲生り」が「稲荷」となったと言われ、日本中に稲荷神社があるのである。 ちなみに、キツネは神様ではなく、神の使者の位置づけのようだ。 日本三大稲荷神社として有名なのだが諸説あるらしく、伏見稲荷大社(あの鳥居がたくさんある、外国人観光客に一番人気の京都の名所)は当確で、それ以外の候補は、豊川稲荷(愛知)、笠間稲荷(茨城)、最上稲荷(岡山)、祐徳稲荷(佐賀)などが有名である。 農家の方が、稲荷神社に日持ちのする油揚げに米を詰めてお供えしたのが、「稲荷寿司」の始まりで、稲荷神社→キツネ、稲荷神社→稲荷寿司から、キツネ⇄油揚げの関係になったとのこと。 理解できる! 境内はそれほど特出するものもなかったが、例によってキツネに守られていた。 神社の参道?が整備されていて、土産物や食べ歩きしたくなる店がたくさん並んでいた。 いなり寿司は、そば、くるみ、舞茸、胡麻、山菜など様々な素材を使った変わり種いなりがあり、思わず買ってしまった。

笠間稲荷神社の通りに隣接したところに、日動美術館という美術館がある。 たまに、有名な画家の期間限定の催しがあり、県民には有名である。 銀座の有名な画廊の系統の美術館で、なんとなく「笠間」とのアンバランス感があり、観光の中に取り込むと落ち着く。  そもそも、図画工作が超下手なのになぜ美術館に行くのか? 米国に滞在していた頃知人に勧められ、訪問した大都市では美術館・博物館には行くようにしていた。 大半は宗教色の強い絵でその迫力には圧倒されるのだが…。 それと、お金と武力に物を言わせたコレクションへのうんざり感もあったのだが…。 絵の鑑賞は素人らしく、興味がない絵は素通り、興味を引くと、説明を見て、どうやって描いたのか近づいたり遠ざかったりして観察する。 515日まで「猫まみれ」というコレクションで、猫ちゃんをたくさん観察した。 どれも視覚的に、情緒的に猫の特徴をとらえていて楽しかった。 有名な画家の絵、ピカソ、ルノアール、モネ、セザンヌ、岸田劉生、歌川広重なども常時展示されていて満足した。 館内のカフェの女性店員が、親切に笠間のことを説明してくれ、しるしをつけた地図までいただいたお陰で、迷うことなく観光することができた。

笠間のパンフレットでは、茨城県の中心部に位置するらしく、茨城空港、水戸、国営ひたち海浜公園、土浦、袋田の滝へのアクセス、多少離れるが、日光、成田空港、東京も圏内との記述である。  そう言えば、36年前の日航機の墜落事故で亡くなった坂本九ちゃんの出身地も笠間である。 くるみ入りいなり寿司をぶら下げての帰りの運転。 気が付いたら繰り返し口ずさんでいた。 「明日があるさ明日がある~ 若い僕らには夢がある~ いつかきっといつかきっとわかってくれるだろう~♫ 明日がある明日がある明日があるさ~♫」なんかホッコリした気分である。 若い時はアクティビティ重視で時間との勝負だったが、歳を取るとこのホッコリ感がたまらない!



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コメント

  1. 匿名4/28/2022

    ほっこり→子犬の映像かな〜(^^)あと、露天風呂でお盆浮かべて酒のんでるときだね❢\(^o^)/

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