最近将棋のニュースが増えている。 藤井総太くんのお陰である。 ただ、仕方ないことではあるが、報道する側の人たちが、将棋を知らなすぎて苦戦しているようである。 せめて、有段者または長年業界報道をしている担当記者に任せた方が良い気がする。 ただ、この十代の若者は、これまでの常識をことごとく塗り替えているのは事実であり、強いのである。 私の趣味は、3G(囲碁、音楽(ギター)、ゴルフ)であると一年間書いてきたが、実はその前の一時期、将棋に打ち込んだことがあり、将棋のことは一般人プラスアルファの知識は持っていると思っているので、藤井くんのニュースが少しでも楽しくなるように、将棋の話をしたい。
アマチュア初段程度でもそうなのである。 感覚としては9x9の将棋盤が頭の中にいつもあり、駒が置かれている画面が一枚ずつ画像認識されているような感じである。 将棋を始めた頃はテレビ解説者から「三手の読み」とよく聞いた。 「自分がこう指したら、相手はこう指す。 それで自分はこう指す。」という三手先を考えることが基本中の基本。 それが局部の三手ではなく、全体の画像認識となり、プロは数十手、相手の手ごとに枝葉が増えるため、数百、数千手はイメージすると言われる。 将棋一局が百手前後とすると、その凄まじさが分かる。 途中で良し悪しを判断して無駄な読みを省略するらしいが、省略した手の先に探していた好手や意外な手があったりするらしい。 活字上は、「鬼手」とか「妙手」とか言われるヤツ(藤井くんのニュースでよく聞く)である。 以前は昔の棋譜で勉強したらしいので限界もあったが、コンピュータの普及以降は棋譜検索、研究、その上AIの普及で判断も正確になったことだろう。 棋士の学習・研究のサポートだけでなく、最近では対局そのものもコンピュータの方がプロよりも強くなりつつある。 昭和になってからの歴代永世名人(名人位を5期以上獲得した棋士)は、大山康晴15世、中原誠16世、谷川浩司17世、森内俊之18世、羽生善治19世、一度は聞いたことのあるような時代を代表する、そうそうたる棋士たちであるが、時間軸としてはコンピュータの普及は18世以降だったと思う。
将棋のルールは、説明しようとすると意外と困難で、今回のお題から外れてしまいそうなため簡単にしておく。 特定の動きをする自分の駒を使って、相手の王(先手は玉)と取るゲームで、王飛角は各1枚、金銀桂香は各2枚、歩は9枚の20枚ずつで戦う。 互いに3段目までが自陣で、この中に相手が入ると、駒が裏返しに成り、それまでよりも自由度が効く。 動ける範囲に相手の駒があると、自分の駒をその場所に進めて、相手の駒を盤から取り除き持ち駒とする。 持ち駒は必要なときに自分の駒として再利用する。(ここが”西洋将棋”チェスとの大きな違いで、コンピュータ化の壁だったと聞く)。 攻め駒は飛角桂香及び銀1枚、守り駒は金銀3枚、決まっているわけではないがそれが定跡とされる。 歩という一つ前にしか進めない最も自由度の効かない(駒としても小さい)駒が、攻めにも守りにも微妙に働く。 すべての駒の大きさが、そのまま重要さを表していてわかりやすい。 格言も多い(たくさん覚えて、実践すると初段格とも言われる)。 桂馬の高跳び歩のえじき(桂は一つ前には進めないため、不用意に使うと歩で退治される)、 金底の歩岩よりかたし(金の下に歩を打つと相互に守り合うため攻め難い)、下段の香に力あり(一直線に進める香はなるべく下からの方が効力を発揮する)、歩のない将棋は負け将棋(持ち駒に歩がないと局面打開しにくく不利になりやすい)など。 知っておくと対局中の画像でアマチュアでも優劣判断を楽しめる。 盤が小さいため、局所戦が全体に影響しやすく劣勢を跳ね返すのが難しい。 それが私が将棋から囲碁に変わった理由でもある。
将棋のタイトルは8大タイトルと言われ、竜王、名人、王位、王座、棋王、王将、棋聖、叡王で、概ねメディアが賞金を出しているタイトル戦である(新聞の下の方に、囲碁と将棋の欄を目にする)。 期待の藤井くんは只今5冠! 竜王、王位、王将、棋聖、叡王! ほとんどが、年間を通じてリーグ戦かトーナメント戦で行い、勝ち残った棋士がタイトルホルダーに挑戦する。 どれも一年に一度のタイトル戦となる長丁場なのである。 タイトル料が一番高いのは竜王4400万円(読売新聞社主催)であるが、将棋と言えば名人戦である。 朝日・毎日新聞社が共催(主権争い?)。 これは将棋界の昇格制度とリンクしており、順位戦と呼ばれるリーグ戦の階級、上からA級、B1級、B2級、C1級、C2級がある。 プロ棋士と呼ばれるのは四段からでまずC2級に属し、年間通したリーグ戦で、上位数名が上の級に進み、上の級の下位数名と入れ替わる仕組み。 A級で一位になると名人に挑戦することができる。 これだけ騒がれている藤井くんは只今B1級。 こればかりは毎年勝ち続けてもプロ入りから5年は必要である。 C1級(五段)、B2級(六段)、B1級(七段)、A級(八段)と昇格し昇段することになる。 ただし、段はタイトル数や累計勝数などでも昇段が可能で、一度昇段すると段位が下がることはない。 藤井くんは順位戦的には七段だがタイトル数により九段を獲得しているはずである。 段位は九段でも順位戦の所属リーグは勝敗によってのみ変わる仕組みのため、藤井くんの名人位獲得は令和四年中は聞くことはない。 コンピュータを駆使して強くなる若い力は、次々と現れどこまで伸びるのか? まさか、コンピュータ相手に「鬼手」を放つ棋士は出てこないと思うが…。 今後が楽しみである。
どんな頭脳が、数百手先を想定できるのか、想像もつかないけど、いろんなケースを想定することをくりかえすことで、色々な経験にシナプスが同時に繋がるというのは、ビジネスシーンとおなじかな〜?
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