野球小僧

野球好きは親譲りか、当時子供が好きなもの「巨人・大鵬・卵焼き」、大鵬以外は好きである。 子供の頃からの野球好きで、家族親族では一番下で年上の話を聞いて育ったこともあり、野球のルール、プロ野球選手の雑学、高校野球の出場校から出場した多少ニッチな選手など、様々な角度から野球に親しんだ、イワユル”野球小僧”であった。 学校が終わると、バットにグローブを串刺しのように刺して、また学校のグラウンドに戻る。 正確に言うとソフトボールであったが…。 ちょうど小学校高学年頃に、少年マガジンに連載され、そのうちにテレビ放送になった「巨人の星」の大流行。 大きなタイヤを引き、バットで叩き、練習に励んだものである。 中学では念願の軟式野球部に入部した。

生まれ育ったところは、長崎県の佐世保から五島列島行きの船が沖を通る小さな離れ小島、炭鉱の島で昭和の前半は栄えていたようだが、小学生の時に閉山、最近有名な通称「軍艦島」、世界遺産の端島と同じような廃墟のアパートを見ながら中学校に通った。 私の10歳くらい上の世代では、1学年十数クラスで午前と午後に分けて登校したようだが、私の学年は2クラス、しかも1クラス30人以下だったような記憶。 このあたりの話は、色んな所でいろんな偶然に出会うことがあり、以前仕事でお付き合いがあった大手企業の資材課長様が、炭鉱地区の小学校に通っていて、まさに、十数クラス→2クラスの島を離れた側の経験者で互いに懐かしんだり…。 有名な作家の小説があったり…。 元住民は炭鉱に関連した特有の経験を持っている。 それほどインパクトが強い。 野球小僧は、野球の知識と野球へのパッションは豊富だったが、体つきは小粒な少年だった。 野球は打つ、取る、走る、投げる、という4つの全く違う筋肉を使う動作を行うため、練習時間が異常に長い。 肘や肩を痛めながらも練習に励んだ。 他の部活とは違うと、特別視したものである。 

ただ、そんな人口減少の島だから、野球部の部員数は少なく紅白試合もままならず、中学3年間で、公式、練習試合で6試合程度しか行った覚えがない。 野球への知識、野球へのパッション、野球に割いた時間では負けないが、野球への自信が持てないのである。 その後の経緯をはっきりと記憶していないのだが、あれだけ夢にまで見ていた甲子園を志すことなく、野球小僧は高校生活を過ごした。 たぶん、肘を痛めていたこと、小粒だったこと、大学進学への不安、などが重なったためだろうが、自分に対しても説得力がない。 現に、同じような境遇を乗り越えて野球を続けた野球小僧たちは、先輩にも同級生にもたくさんいた。 高校時代はそんな彼らの試合を応援し、最後の試合はスコアブックを付け、プレゼントしたりした。 ただその後、自分の不完全燃焼は治まらず、機会があるごとにソフトボールや野球のチームに入り、不完全燃焼を完全燃焼しようと試みたが、学校のクラブ活動以外に社会人の草野球レベルでは、志を同じくして練習に励み試合に臨むことはなく、ほとんど前準備なしに試合をし、終わったらビール飲みながら和気あいあい。 普通なら好きな流れだが、野球小僧の不完全燃焼改善は満たされず、今に至る。

志を同じくして練習しその成長なり成功なりを楽しむ気持ちは、その後も野球以外の趣味でも同じである。 同じジャンルでも方向性が多少違ったり、パッションの程度が違ったり、技量が違ったりで、大人になってからは、結局は満足を得られることの方が少ない。 十代の頃にやりたいことに対して全力で練習し、本番で緊張しながらその緊張を乗り越えるような経験ができたかどうかなのだろう。 できた人は、自分の「全力」がそこにあり、その頂点を知っているからこそ、今の緩い感じでも不完全燃焼の感覚は少ないのではないか。 できなかった人は、今からでも遅くはないと言いたい。 体力も気力も体の働きも低下はするだろうが、上昇はあまり期待できない。 ただ、今からでも遅くはないものはあるはずである。 幾つになっても見逃したものを追いかける気持ちは持ち続けていたいものである。

最近、野球小僧には寂しく思うことがある。 それは、テレビ番組表からプロ野球の放送がほぼ消滅したことである。 視聴率が上がらないということは、人気がないということ、子どもたちが野球を志さないということ、つまりは田舎の島と同様、チーム内での紅白試合ですらもできない状態になっているようである。 人口減少、子供の減少、娯楽の多様化、指導者不足、子供の練習への父兄の負担、などなど、すでに、国民的行事の夏の高校野球ですら、合同チームが出始めている。 世界規模で考えると、そもそもサッカーの方が人気があるわけで、アメリカの衰退に呼応して縮小していくのかもしれない。 野球小僧としては、時代の流れと諦めつつ、不完全燃焼の気持ちを持ち続けつつ、今年の夏はウィルス感染の下火を期待しつつ、暑い夏と冷たいビールで高校野球をテレビ観戦、50年ぶりにスコアブックを付けてみよう! 



ブログランキング・にほんブログ村へにほんブログ村

コメント

  1. ジイサンズの野球もたのしいかもね。近所にいないのかなー

    返信削除

コメントを投稿