ダウンサイジング!

生まれ故郷は、長崎の離れ小島である。 元来島の集落のほと
んどは半農半漁で、自給自足ではなかったろうか。 島には古くから残る家と後から住むようになった家があるが、どちらも感覚的に節約とか「もったいない」が身についてしまっているようだ。 特に古い家では、生活の中で水への節約の思いはしみついている。 家の裏には井戸があり、その上、雨水の貯水タンクがあった。 風呂は2、3日に一度、それ以外は大きな窯にお湯を沸かして、顔手足を洗うだけであった。 島を離れた後、湯舟からあふれるお湯の風呂に入った時はカルチャーショックであった。

ダウンサイジングという言葉がある。 IT業界に居た身としては、ポジティブな言葉。 物理的に小型化して同じ機能を実現すること。 工場勤務時代では、(攻めの姿勢ではあるが)ネガティブなイメージの言葉。 儲けが少ない工場での支出を抑えて採算を取ること。 パイを小さくすることで、要するに経費削減や人員削減である。 無駄をなくすことは考えたいが、余力をなくすと可能性を失うことになる。 定年退職後は感覚的には、まさに後者の意味のダウンサイジングを思う。 歳を取っても自由に暮らしたいが、心身ともに数年で変化する中で、自由に振る舞うことは際限がなく、無駄を作ることになる。 なるべく経済的な、物理的な負荷を少なくすることが地球への貢献と言える。

京都単身赴任時代は、単身赴任と言えども2世帯住宅のようなもので、単身赴任を終え家に戻る際には、ほとんどの家電、家具、食器、日用雑貨類は不要のものとなった。 「もったいない」ので、メディアで流行りのリサイクル業者を探すことにした。 そこで大きな壁が…。 使用者の価値観は、使い古しとは言え、買い替えるときの金額の価値はあるのだが、引き取る側からすると売れないものは引き取れないのである。 工場時代の経費と減価償却のことを思い出した。 経費で処理したものは、今後使わないものであれば、処理した日から廃棄しても経理的にはすでに損得無し。 減価償却で処理するものは、毎年、耐用年数に合わせて定額または定率で評価額を落とし、耐用年数になると評価額ゼロになる。 耐用年数以降も活用すればその分得をするわけだが、その時点で廃棄しても損
得無し。 私の家電、家具は…、耐用年数の考え方は難しいが壊れない期間的に考えると、多分に評価額ゼロになっても使い続けた「得を搾り取った」モノたちであり、査定額はゼロになって当然である。 要するに、高くてよい品質のものを、早くリサイクルしないといけないのである。 島育ちには到底無理な話である。 というわけで、買い取ってもらえた数点で、缶ビールが数本買えた程度で(どうも頭の中の改善の単位は「缶ビール」になる)、あとは無残にもお金を払っての廃棄処理となった。 本当に「もったいない!」が、現実である。

我が家の暮しはどうあるべきなのか? 人の一生はどうなるべきなのか?    長男次男、長女次女、兄弟姉妹の数でも違うし、多額の遺産を手にするケースもあるだろうが、それらを無視して一人の人間の一生だけを考えると、何もない状態で生まれて、両親や周りの人たちから様々な援助を受けながら成人になり、受けた援助は、子供や周りの人たちに同じように提供し、どこかの時点で、上り坂から下り坂になり、自分が造ったモノ、買ったモノも徐々に処分し、地位も名誉も貯えもすべてを使い切った状態でこの世を去るのが、理想であり、もっとも効率的と思われる。(強いて言えば、自分の脳みその中の記憶や、体が覚えた筋肉の動きは、使い切ることなく残るものだろうが…。) 今の日本の社会保障制度ではそんなわけにもいかないことは分かっている。 しかし、試みてみたいテーマである。

先日、車の買替えで悩んだ。 いつかは免許返納の時期がくる。 初めて維持費の安い軽自動車にした。 セーフティドライブ機能付きである。 荷台の広いワゴンタイプである。 この車を最後に免許返納になるかもしれないと思いつつ…。 坂道や高速道路では車が一生懸命走ろうと大きな音と振動を立てるが、細い道や駐車場は楽ちんである。 ダウンサイジングも悪くない!  荷台の広い車で、子供たちの学習机等やその他少しずつ処分(リサイクルは諦めて…)しようと考えたわけである。 荷物が徐々になくなり、運転免許証がなくなる前に、便利な駅前の集合住宅にでも引越しできれば、理想に近づけるのだが、まだまだその域までは程遠い。 これからこのダウンサイジングという取り組みが、自分の中でどのように処理されていくかは現状定かではないが、言えることは私の中ではその方向で暮らしてみたいと思う。 結果の評価は自分で下せないところが難点であるが…。

コメント

  1. これから先、すぐに向き合う話ですね~。持ち物どうする、車どうする、家は・・ とりあえず、嫁より先に寿命迎える予定なんで、後はたのむかな~ 楽器だけは、自分で終いをつけないとなー

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